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 センター主催・協賛の公開講演会

 生命情報学教育研究センターでは、生命情報学の講演会を主催・協賛しています。最新の情報は、ニュースもご覧ください。

30/1/2014: 16:45〜 和賀 祥 (日本女子大学・理学部)

DNAの複製は、細胞が分裂・増殖する上での必須の細胞機能である。DNA複製は、その開始から終結に至るまで細胞の中で様々な調節を受ける。その調節機構の破綻は、場合によっては細胞のがん化の引き金や促進に繋がる。複製開始点は、そのDNA合成が始まるDNA上の地点(領域)であり、ヒトDNA上には多数存在する。ヒト複製開始点については、その研究は40年以上も前から行われているが、未だに解決されない基本的な問題が残されている。一方、近年の次世代シークエンサーなどを利用した解析法の進歩によって、ヒト複製開始点の全貌が見えつつある。本セミナーでは、ヒト複製開始点に関する問題とそれに関する我々の取り組みを紹介したい。

19/12/2013: 16:45〜 右田 王介 (国立成育医療研究センター)

次世代型シーケンサーやマイクロアレイといった新しい解析技術により、ゲノム全体について網羅的に遺伝情報を解析しうる時代になっている。さらに、これまでの染色体分染法といった手法では検出が困難な欠失や挿入、あるいは重複といったコピー数の変化(CNV: Copy Number Variant)が容易に検討しうるようになり、いわゆる一塩基多型(SNP: Single Nucleotide polymorphism)のような配列情報の変化より、CNVのほうがヒトゲノム情報にはより多くの影響を与えることも示されるようになった。このようなヒトゲノムの遺伝情報を比較検討するには、適切なコントロール集団と比較検証することが極めて重要であるが、”正常”のコントロール集団のデータを収集することは困難もつきまとう。CNVと疾患の関連を軸に、次世代型シーケンサーを用いた配列解析など、疾患にかかわる遺伝情報の検討について知見を提供したい。

21/11/2013: 16:45〜 Gopi Kuppuraj (お茶の水女子大学 生命情報学教育研究センター)

Nicotinamide Adenine Dinucleotide (NAD(P)) and Flavin Adenine Dinucleotide (FAD) are essential cofactor/substrate for enzymes that catalyze redox and/or nonredox reactions. Because several enzymes involved in FAD & NAD(P) metabolism have been implicated in a wide array of diseases, there is great interest in understanding how these nucleotide-dependent enzymes recognize their structures. Hence, we have analyzed various enzyme-bound NAD(P) and FAD conformations. Conformational studies using torsion angle spaces were performed to distinguish structural features as well as to establish function relationships. Quantum mechanical calculations and molecular dynamics simulation were employed to unravel non-redox enzyme (toxin)-bound NAD function and FAD conformations in solution respectively. Our results show that folding/unfolding dynamics of these cofactors could be a requirement for recognition and catalytic activity.

25/7/2013: 16:45〜 三浦 信明 (お茶の水女子大学 生命情報学教育研究センター)

ウイルスや細菌はヒトの身体に侵入して感染症を起こす。そのメカニズムを知ることは感染症の治療や予防を考える上での大切な基礎になるが、最終的に細胞接着や加水分解など分子間相互作用や酵素反応をはじめとした化学的な側面が現れる。演者は計算化学と生命情報学を活用しながら実験の研究者と協力して分 子構造といった観点から生命科学研究を行ってきた。本セミナーでは、ヘマグルチニンをブロックする事による抗インフルエンザついての研究の話を中心としてその他演者が興味を持つ感染症について薄学ではあるが話題を提供したいと考えている。

27/6/2013: 16:45〜 稲垣 祐司 (筑波大学 計算科学研究センター)

近年のシークエンス技術の発達とそこから得られる大量の配列データを元にした大規模分子系統解析(所謂phylogenomics解析)は、真核生物の系統関係を高精度で解明することができると期待されている。しかし、自然環境中にはこれまで記載されていない未知の真核生物が多数生息しており、我々は真核生物の多様性を十分に把握しているとは言えない。従って、真核生物進化・系統を理解するためには、系統的 に多様な生物種から大量配列データを取得し、系統解析を行う必要がある。本講演では、@これまでに我々が把握した真核生物多様性の現状、Aphylogenomics解析により明らかとなった各種真核生物の系統関係、B新たに浮上した真核生物進化・系統に関する問題点を、我々の研究成果を紹介しつつ解説いてゆく。

6/12/2012: 16:45〜 曹 纓 (統計数理研究所 データ科学研究系 構造探索グループ)

地球上のあらゆる生物は、1つの共通祖先から種分化を繰り返しながら進化してきた。つまり、生物の進化の歴史が原理的には1本の系統樹のかたちで表現できるはずである。今回のセミナーでは、DNAやアミノ酸など遺伝情報による分子系統樹推定における方法を説明しながら、多くの方にとって親しみのある哺乳類を中心に、多様な動物がどのように進化の歴史を辿ってきたかを紹介する。ハリネズミとハリテンレック、クジラなど具体的な生物を対象に、形態進化と分子進化の特徴の説明、収斂進化、哺乳類進化と大陸移動の関係などをテーマに述べて行く。また分岐年代推定の研究に関して、種のサンプリング密度による影響などを紹介する。

22/11/2012: 16:45〜 Martin Frith (産業技術総合研究所 生命情報工学研究センター ゲノム情・解析 配列解析チーム)

Sequence comparison is fundamental in genomic data analysis. It includes diverse tasks, such as: comparing two whole genomes, aligning ancient DNA reads to a modern genome, comparing metagenomic DNA to known proteins, etc. I will outline our algorithms and statistics, implemented in LAST, for high-sensitivity, BLAST-like comparison of modern high-throughput sequence data. The main feature of LAST is that it marries classic, statistically powerful alignment methods with a fast algorithm for large data. To illustrate the benefits of this approach, I will focus on alignment of bisulfite-converted DNA. Bisulfite conversion is the standard way of measuring DNA methylation, which has fundamental effects on gene regulation, stem cells, neural plasticity, cancer, etc.

12/7/2012: 16:45〜 Osamu Miyashita (Department of Chemistry and Biochemistry, University of Arizona, Tucson, AZ, USA)

X-ray crystallography has played the major role in structural biology, providing information on protein conformations. However, interpretation of this data is not always trivial. While proteins are flexible and adopt different conformations, X-ray structures represent only a single snapshot of the conformational ensemble. In addition, this static image may be subject to artificial forces such as crystal packing. It is especially important when several conformations of a protein are available ?some conformations reflect their biological context (such as an allosteric effector), whereas others may be under the effect of crystal packing. We have been studying several biological systems using molecular dynamics simulations and examining how experimentally determined structures correlate with the conformational ensembles to provide additional insight to the structural mechanism of their functions. We showed that, while the conformations of X-ray structures are energetically accessible, they are not always the most energetically favorable conformation. Thus, the X-ray structure itself is not sufficient to reveal the mechanism of protein function, and could even lead to inaccurate speculations.

14/6/2012: 16:45〜 Steven Hayward (School of Computing Sciences, University of East Anglia, Norwich, U.K.)

In proteins Ramachandran plots of helical parameters show the relationship between φ,ψ angle values and structure, as helical parameters describe the path of the backbone. Although Ramachandran plots of helical parameters of repeating single peptide conformations have been used to investigate protein structure in the past, Ramachandran plots of helical parameters for dipeptide structures have not been seen before. Here these plots are used to give structural insights into known commonly occurring short peptide motifs in proteins. Dipeptide motifs discussed are the β-turns, β-bend ribbons, nests, catgrips and a recurring motif often associated with β-sheet, named the ‘β-curve’ .

19/1/2012: 16:45〜 宮正樹 (千葉県立中央博物館・動物学研究科)

「魚類」は,原始的な脊椎動物の中で陸上生活に適応するこ・ニがなかった生きものの総称で,世界に3万種余りも生息している.この膨大な多様性は,5億年という気が遠くなるような時間スケールをかけて,種分化 (種数の増加) と絶滅 (種数の減少) というプロセスを経て形づくられてきた.我々の研究グループは,ミトコンドリアゲノム全長配列を多数の種間で比較解析することにより,さまざまな魚類の進化の歴史を再構築してきた.今回のセミナーでは,近年メディアで大きな話題となった「深海魚の三つの科が一つに」,「深海起源のウナギ」,「生きている化石,ムカシウナギの発見」などのトピックをわかりやすく紹介する.さらに,海を渡っ・ト分布を広げることのできない淡水魚が,中生代に起こった大陸移動と密接な関連をもって進化し,世界中に分布を広げていったことを示唆するいくつかの事例を紹介する.

8/12/2011: 16:45〜 関安孝 (岩手医科大学薬学部)

タンパク質は主鎖がほどけた(解鎖)状態ではどの様な構造的な特徴をもつのか。この素朴な疑問を解決することは,球状タンパク質の折れ畳み問題や安定化機構の解明には決定的に重要である。なぜなら,折り畳み問題では解鎖状態はその初期状態と考えられるし,安定化の尺度は天然状態と変性解鎖状態との自由エネルギー差で定義されるからである。更に近年では,天然変性タンパク質・フ機能の重要性が認知され,よりいっそう解鎖タンパク質の構造特性に注目が集まっている。 セミナーでは,新規に開発した解鎖タンパク質の構造アンサンブルを計算機内に生成する方法と,これと溶液X線散乱(SXS)プロフィル,NMRの残余双極子結合(Residual Dipolar Couplings : RDCs)の実測値を組み合わせた解鎖タンパク質の構造特性解析について発表する。更に球・タンパク質の変性状態と天然変性タンパク質の構造特性の違いについて議論したい。

24/11/2011: 16:45〜 Dr. Steven Hayward (School of Computing Sciences, University of East Anglia, Norwich, NR4 7TJ, UK)

α-sheet has been proposed to be the main constituent of the toxic amyloid intermediate. Molecular dynamics simulations on proteins known to be involved in amyloid diseases have demonstrated that β-sheet can, under certain conditions, spontaneously convert to α-sheet via ββ→αRαL peptide-plane flipping. Using torsion-angle driving to simulate this flip the transition has been investigated for parallel and antiparallel sheets. In the antiparallel case the strands splay apart during the transition and the final α-sheet structure is slightly twisted, comprising gently curving strands. In parallel sheet the strands maintain identical conformations and stay hydrogen bonded during the transition as they curl up to suggest a hitherto unseen structure, the multi-helix α-nanotube. Intriguingly, the α-nanotube has some of the characteristics of the parallel β-helix, a single-helix structure also implicated in amyloid. Unlike the β-helix, α-nanotube formation could involve identical strands aligning with each other in register as in most amyloids.

17/11/2011: 16:45〜 亀田倫史 (産業技術総合研究所 生命情報工学研究センター創薬分子設計チーム)

コンピューターの進歩により、分子動力学(MD)法の重要性はますます高まっている。数十年前には、100残基以下の蛋白質を、数ピコ秒計算するのが精いっぱいだったのが、近年では、1ミリ秒まで計算できるようになっている1,2。計算の高速化によって、MD法は理学的な興味にこたえるだけではなく、創薬など応用研究にも用いることが可能になりつつある。本講・奄ナは、まずMD法について簡単な講義を行い最近の・ョ向を概説する。次に、難溶性薬物、アミロイド繊維の溶解剤開発など、私がこれまでMD法を用いて取り組んできた研究について時間の許す限り述べたいと思う。

20/10/2011: 16:45〜 大里直樹 (横浜市立大学医学研究科免疫学教室 特任助教)

近年、ゲノムや完全長cDNA・z列が大規模に決定され、DNAマイクロ アレイにより多数のmRNAの発現情報が得られるようになった。また次世代シーケンサの登場により、転写制御因子のDNA結合やヒストン修飾がゲノムワイド・ノ調べられるようになってきた。これらの大量の実験データを解析することにより、個々の実験解析ではわからなかったことが、明らかになりつつある。例えば、mRNAに関する新しい知見を得たり、転写制御のメカニズムや細胞分化に関わるような転写制御因子を推測したり、がん組織における遺伝子発現と予後の経過の関連について調べている。本講演では、このような解析の方法や結果について紹介したい。

13/01/2011: 16:45〜 中村保一 (国立遺伝学研究所/総合研究大学院大学 教授 かずさDNA研究所 特別客員研究員)

新型シーケンサ (NGS) の出現により、短時間に低コストで大規模な塩基配列解析が可能となっている。しかしながら、 配列から効率よく情報を引き出すためには、質のよいリファレンスが構築、公開、提供されている必要がある。国際塩基配列データベース (INSDC) の運営に協力している「日本DNAデータバンク (DDBJ)」では、生データレポジトリのDDBJ Sequence Read Archive (DRA) と、解析を支援する DRA pipelineを構築し、NGS由来情報の解析、保存、共有を実現するための体制をつくってきた。 本講演ではわれわれ・フ取り組みの最新の状況を報告し、あわせて統合データベースプロジェクトの一環としてかずさDNA研究所で展開している ソーシャルアノテーションシステムKazusaAnnotation についても紹介したい。

25/11/2010: 17:00〜 塚原正俊 (株式会社トロピカルテクノセンター 研究開発部)

沖縄県は、沖縄振興計画に基づき「バイオテクノロジーの研究開発」に積極的に取り組 んでおり、これまで様々な施策を推進している。「沖縄先端ゲノムプロジェクト」は、次世代シーケンサを核とした技術や研究成果により地域振興を目指す先端バイオ研究基盤高度化事業として、2008 年8 月にスタートした。本事業では主として3つの研究項目により推進している。 @「次世代シーケンサによりゲノム配列等を効率的・高精度に解析する基盤技術の開発」 A「創薬研究に結びつくヒトゲノム情報の効率的獲得とその機能解析」 B「発酵産業等の産業振興に結びつく有用生物資源のゲノム情報の効率的獲得とその機能解析」 今回は、次世代シーケンサの基本的特性に関する話題と、その活用例としてこれまでの事業成果について紹介し たい。

18/11/2010: 16:45〜 皿井明倫 (九州工業大学情報工学部生命情報工学科 ・ウ授)

転写因子などDNA に結合する蛋白質は、ゲノム中から特異的なターゲット配列を認 識し結合することにより、遺伝子発現の時間的空間的な制御を行っている。現在、多くの生物種において完全ゲノムが次々と明らかにされ、転写因子のターゲット同定などが機能解析の重要なテーマとなっている。また、これまでに多くの蛋白質とDNA の複合体の構・「が明らかにされているが、蛋白質がどのようにしてDNA の配列を読み取っているのかよくわかっていない。蛋白質によるDNA 配列認識のメカニズムを理論的に研究するアプローチとしては、主に、知識ベース的あるいは帰納的アプローチと、ab initio 的あるいは演繹的アプローチとに分けられる。帰納的アプローチでは、既知の蛋白質・DNA 複合体の構造データを解析することにより得られる経験的知識に基づいて認識の構造メカニズムを考察し、ゲノムレベルでの転写因子のターゲット予測などへ応用する。一方、演繹的アプローチでは、そのような経験的知識には頼らずに、アミノ酸と塩基の相互作用やDNA 構造の計算機シミュレーションを行うことにより、認識メカニズムに関する情報を得る。これまでの研究によって、蛋白質・DNA 認識の分子メカニズムについてどのような知見が得られているのか説明する。

04/11/2010: 16:40〜 池尾一穂 (国立遺伝学研究所遺伝情報分析研究室 准教授)

ヒトゲノム配列の解読以来、生命科学の現場のみならず日常生活にもゲノムが身近になってきている。さらに、ここ数年の技術革新、特に、次世代シークエンサーの登場により、加速度的にゲノム研究の存在感が増してきている。本セミナーでは、ゲノム配列を用いた研究、特に、我々が比較進化学研究にどのような観点からアプローチし、ゲノム解析を進化の研究に役立てようとしているのかを紹介する。

21/10/2010: 17:00〜 國枝武和 (東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻 細胞生理化学研究室 助教)
(お茶の水女子大学生命情報学教育研究センター主催 文部科学省委託研究開発事業「統合データベースプロジェクト」共催)

クマムシ類は、極限的な環境ストレスに耐性を示すことで知られる微小動物であり、節足動物と近縁の緩歩動物と呼ばれる独自の動物門を形成する。陸生クマムシの多くは外界の乾燥に応じて脱水し、乾眠と呼ばれる無代謝状態となって乾燥に耐える能力を持つ。乾眠状態のクマムシは超高温・超低温・超高圧・真空・放射線など様々な極限環境に耐性を示すが、こうしたクマムシの乾眠能力・極限環境耐性の分子メカニズムについてはほとんど分かっていない。我々は乾眠能力のメカニズムとその進化過程の解明を目的として、近年本邦で飼育系が確立されたヨコヅナクマムシをモデルにゲノム解析を行っている。ヨコヅナクマムシのゲノムサイズは約 60Mb とクマムシの中でも最小の部類であり、これまでにサンガー法を用いた 16x カバレッジのホールゲノムショットガン解・ヘを行い、ドラフトゲノムの解読をほぼ完了した。乾眠能力/極限環境耐性を持つ動物として初のゲノム解析であり、極限環境耐性動物のモデルとして利用するための遺伝子情報基盤を整備した。さらに耐性に関連する候補タンパク質としてヨコヅナクマムシ抽出液から大量に発現している抗凝集性タンパク質5種を単離・同定した。いずれも新規なタンパク質であったが、クマムシのゲノム上には類似遺伝子(パラログ)が多数コードされており3つのファミリーを形成していることを明らかにした。これらのタンパク質は乾燥耐性などクマムシ固有の性質に関与する良い候補と考えている。

03/06/2010: 16:45〜 Sun-Shin Cha (Marine Biotechnology Research Center, Korea Ocean Research & Development Institute)
(Co-sponsored by Targeted Protein Research Program)

Human DJ-1 is a representative member of the DJ-1 superfamily whose members are evolutionarily distributed from Archaea to Eukarya. Mutations in the DJ-1 gene have been implicated in the autosomal recessive early-onset parkinsonism. DJ-1 is a soluble dimeric protein playing critical roles in response to oxidative stresses and neuronal maintenance. However, several lines of evidence point to the existence of nonfunctional aggregated form of DJ-1 in the brain of patients with some neurodegenerative diseases. Here, we show that inorganic phosphate (Pi), an important anion whose level was reported to be elevated in patients with Parkinson’s disease (PD) transforms DJ-1 into filamentous aggregates. According to the 2.4 Å crystal structure, DJ-1 dimers are linearly stacked through Pi-mediated interactions to form protofilaments, which are then bundled into a filamentous assembly. The Pi-induced aggregation of DJ-1 sensitizes cells to oxidative stress known to contribute to neuronal degeneration, suggesting the implication of DJ-1 aggregation in disease pathogenesis. Our study presented here opens new avenue to the elucidation of the implication of DJ-1 in the pathogenesis of neurodegenerative diseases including PD and to the development of inhibitors preventing DJ-1 aggregation.

21/01/2010: 16:45〜 加藤 毅(お茶の水女子大学 生命情報学教育研究センター)
(女性リーダ育成プログラム主催)

生命科学や生化学において、機械学習技術を用いたバーチャルスクリーニングの有用性が広く認識されるようになってきた。遺伝子領域の判定、タンパク質の機能の予測、発現プロファイルに基づく医療診断,タンパク質間相互作用予測、リガンドターゲット間相互作用予測など機械学習の応用範囲は幅広い。これらの応用において、多くの場合、複数の予測問題が関連している。こ・黷ワでは関連する複数の予測問題を別々に解いてきたが、我々は複数の予測問題を同時に解くことによって予測精度を向上させる計算手法を開発した。本セミナーでは、機械学習はどのような問題に利用でき、どのような原理で予測を行うのか、生物学化学分野の院生・学部生にも理解できるようなわかりやすい解説を試みる。さらに、複数の予測問題を同時に解く新手法を紹介する。

19/11/2009: 16:45〜 Steven Hayward(University of East Anglia, U.K.)
(女性リーダ育成プログラム主催)

Protein function involves conformational change and in most cases this conformational change will involve a domain or a loop. However, very different methodologies are required to understand conformational changes in these two different structural categories. In the talk I will describe methodologies, show examples, and end showing how in a functioning alcohol dehydrogenase, a loop movement is engaged to control a domain movement.

15/10/2009: 16:45〜 颯田葉子(総合研究大学院大学先導科学研究科)
(女性リーダ育成プログラム主催)

 2001年にヒトゲノムの全塩基配列が報告され、それ以降チンパ ンジーやオラウータン、アカゲザルなどのヒトに近縁な霊長類のゲノムが次々に解読されてきました。これらの、近縁霊長類のゲノムのデータは何がヒトの特徴であるかを明らかにする上で、大いに役立ちます。また、HAPMAPデータベースとよばれるヒト集団での個人個人のゲノムの違い(遺伝的・ス型)を調べたデータベースもいくつも公開されるようになりました。これらの遺伝的多型のデータは、例えば、ヒトの様々な個人差を説明するのに役立つ他に、ヒトがアフリカから世界中へ拡散した様子を再現する上にも役立っています。本講演では、このようなヒトとその近縁霊長類ゲノム、ヒトの遺伝的多型のデータをもとに明らかになったヒトの進化を紹介します。講演は学部生,大学院生にも分かりやすくお話します。

16/07/2009: 16:45〜 豊田哲郎(理化学研究所生命情報基盤研究部門)
(女性リーダ育成プログラム主催)

 ライフサイエンス分野では、研究サンプルを最初に丸ごと測定してデータベース化し、後からそのデータを詳しく分析していく「オミックス研究」というスタイルが主流となりました。このため、各研究ラボでは研究対象をモノとして扱うだけでなく、情報化されたデータベースとしても扱えることが不可欠です。さらに、それら多数のデータベースを仲立ちにして、多くの研究者との国際的な連携関係を築いていかねばなりません。理研BASE部門では、このようなラボ環境を誰もが享受できる「データベース総合インキュベーションセンター(理研サイネス)」をインターネット上に構築し、データベースの構築・連携・公開・統合までを総合的に推進しています。一般的に、データベースは女性の研究者・技術者の方々が非常に能力を発揮している分野でもあります。米国のジャクソン研究所でもデータベース部門のリーダ達はほぼ女性です。今後、子育て支援や在宅勤務などの働きやすい環境を整えることで、女性の研究者・技術者が長期的にこの仕事で活躍していけるようになると期待しています。

25/06/2009: 16:45〜 北尾彰朗(東京大学分子・ラ胞生物学研究所創生研究分野)
(女性リーダ育成プログラム主催)

 生命現象は蛋白質・核酸などの生体高分子やそれらの集合体である生体超分子の働きによって維持されています。バイオ分野では遺伝情報、蛋白質立体構造、分子相互作用情報などの大量情報が明らかになってきていますが、一方で生体高分子や超分子が働く仕組みについては原子レベルではまだ十分解明されていません。分子シミュレーションを用いれば、物理学と化学の原理に基づいて生体分子や水・イオン等によって構成されるシステムをコンピュータ上に作り出し、それらが機能を発揮する・゚程を原子レベルで観察することができます。蛋白質1分子から生体高分子が多数集まってできた生体 超分子まで、分子シミュレーションによって明らかになってきたバイオの世界を、学部生、大学院生にも分かりやすくお話します。

13/11/2008: 16:45〜 高井貴子(東京医科歯科大学大学院生命疾患科学研究部)
(女性リーダ育成プログラム主催)

 シグナル伝達パスウェイは、単細胞生物と多細胞生物を区分する基本的なシステムであると考えられるとともに、そのバイオイン
フォマティクスは、ヒトをはじめとするゲノム配列解析の結果を、世界中の人々が悩まされているさまざまな疾病の根源的治療法や
予防法の開発に応用するために必要となってきます。シグナル伝達パスウェイを対象としたバイオインフォマティクスについて、
学部生・大学院生にも分かりやすくお話します。

23/10/2008: 油谷幸代((独)産業技術総合研究所生命情報工学研究センター)
(女性リーダ育成プログラム主催)

 近年のゲノム解析によって、様々なモデル生物においてゲノム配列が決定されてきました。これらのモデル生物では、ゲノム解析に続くポストゲノム解析として細胞内の全mRNAを対象としたトランスクリプトーム解析が盛んに行われています。このトランスクリプトーム解析研究において、バイオインフォマティクスは重要な役割を担っています。
 トランスクリプトーム解析の実験的技術としては、主に細胞内の全遺伝子の発現量を測定するマイクロアレイやDNAチップがあります。これらの技術によって得られた大量の数値データに対し、バイオインフォマティクスによるクラスタリング解析やネ・bトワーク解析を行うことによって、生体細胞内における遺伝子群の相互関係を明らかにすることができると考えられています。本講演では、トランスクリプトーム解析の中でもこのクラスタリング解析とネットワーク解析について、その手法や得られた研究成果など具体例をいくつか示しながら、学部生や大学院生の皆さんに分かりやすくお話していきます。

23/10/2008: 諏訪牧子((独)産業技術総合研究所生命情報工学研究センター)
(女性リーダ育成プログラム主催)

 細胞を包む生体膜には、様々な受容体が埋まりこんでおり、細胞の外側から受けた結合分子情報(入力)を、細胞の内側に伝える
(出力)ための“生体素子“と見なせます。 重要な創薬標的としても知られるGタンパク質共役型受容体(GPCR)は、哺乳類では
1000〜2000遺伝子の巨大ファミリーであり、それら全体で、数百万種の膨大な数の入力に対応できます。これは他の遺伝子ファミリーと比べても顕著に多様性に富む数です。なぜ、生物はこれ・セけ巨大なファミリーを必要とし、どのようにして多・l化させてき
たのでしょうか? このような設問は、個々の遺伝子を観察するだけでは、なかなか解けないものですが、遺伝子ファミリーをゲ
ノム全体で俯瞰し、多くの生物種で比較することで初めて理解できると考えます。こうなるとバイオインフォマティクス手法によ
るデータ解析技術は不可欠なものです。
 私たちはこの目的のもと、34種類の真核生物ゲノムから網羅的に約30,000のGPCRを同定して解析していますが、生物の進化につれ、ゲノム上でGPCRの中の特定の遺伝子グループが急増したり、移動するなどの興味深い成長・゚程が見えてきました。バイオインフォマティクス手法で如何にして解析するかを含め、学部生、大学院生にも分かりやすくお話します。

25/09/2008: 伊藤 剛((独)農業生物資源研究所)
(女性リーダ育成プログラム主催)

 この講演では、大規模なゲノム配列決定が行われる際にどのようにして配列解析が進むのか、そしてそこからどのような情
報を出していくことが求められるのかをお話しします。イネゲノムの全塩基配列決定は日本を中心とする国際共同計画として
推進され、2005 年に完成版の全配列を発表しました。用いられたのはジャポニカの日本晴という品種で、配列全長は4 億近
くにもなります。ゲノムを利用して研究を進めるためには、この長大な塩基配列のどこにどんな遺伝子があるかをまず明らか
にしなければなりません。これが「アノテーション」という、ゲノム研究の第一歩です。正確なアノテーションを与えるのはこと
のほか困難な過程です。ここでは我々が、cDNA 等を利用しながらどのようにして精度良くアノテーション情報を構築したかを
説明します。次に、このアノテーションを用いれば、種間で配列比較をすることにより高等植物の分子進化過程などを明ら・ゥ
にできますので、一例として転写開始点の多様性に関してお話しします。また、イネは重要作物ですので、基礎科学的な研
究と同時に農業上有用な情報を提供することも求められます。たとえば新規の病害抵抗性遺伝子をどうやって発見している
のかといった最新の結果をお見せします。バイオインフォマティクスと呼ばれる分野は、新しいといわれながらもそれなりの歴
史を重ね成果を蓄積してきました。この研究の世界がどのようにして作られ、これからどうなっていくだろうかという面も含め、
学部生や大学院生の皆さんにも分かりやすくお話しします。

17/07/2008: 申 吉浩(カーネギーメロン大学日本校)
(女性リーダ育成プログラム主催)

  Support Vector Machine (SVM)を代表とするKernel-based Machine Learning では、アプリケーションを特徴付けるカーネル関数をうまく設計することが成否の鍵となる。カーネル関数は半正定値という数学的性質により定義されており、その性質を満足するようにカーネル関数を設計することは意外に易しくはない。その一方、単純なカーネル関数は相当数知られており、そのため、単純なカーネル関数から出発して、対象とする素材の構造を利用しながら、複雑なカーネル関数を構成する方法が広く用いられている。HausslerのConvolution Kernel、Polynomial Kernel はそのような方法の典型例である。今回は、半正定値性がSVMなどの学習機械においてもつ意味の説明から説き起こし、数学的詳細を捨象して簡易に半正定値カーネル関数を設計する汎用的な手法について解説する。講演者らによる Convolution Kernel及びPolynomial Kernelの一般化等、最新の話題を含むが、数学的な予備知識は線形代数の初歩程度・ニし、また、具体的な実例を用いて解説するつもりである。

26/06/2008: 藤 博幸(九州大学)(女性リーダ育成プログラム主催)

 タンパク質は生体の中で単体で働くのではなく、生体をシステムの要素として他の様々な因子と相互作用することで高次の機能を発揮する。しかし、そのような相互作用はそれらタンパク質が進化する上での制約として作用する。逆に
そのような配列の変化のパターンから、そのタンパク質にどのような制約が働いているのかを読みとることができる。今回は、ComC-ComDというバクテリアのシステム、またプロスタランジンの合成系を例として、他の因子との相互作用が進化に及ぼす影響について説明する。

29/05/2008: 中原 拓(北海道大学)(女性リーダ育成プログラム主催)

 糖鎖はそれ自身が遺伝情報をもっているわけではありません。それ自身が酵素活性をもっているわけでもありません。しかし、細胞表面はタンパク質や脂質に結合した糖鎖で覆われています。そして、これらの糖鎖は疾患や環境要因などでさまざまに変化し、メッセージを発していることがわかってきました。糖鎖は生命の「表情」や「しぐさ」に例えられるかもしれません。 近年、質量分析技術の発展によって生体試料中の糖鎖を網羅的に構造解析すること(グライコミクス)が可能となりつつあります。グライコミクスは生命を理解するための新しい視点を与えてくれるでしょう。我々の研究グループ(北海道大学西村紳一郎研究室)では、グライ・Rミクス技術の開発と、これを活用した疾患とグライコーム変化の関連を研究しています。高速かつ高・ク度で糖鎖構造情報が得られるようになり、これまで糖・ス生物学では経験しなかったような大量の情報を使って実験結果の意味を解釈しなければならなくなりました。グライコミクスの実験結果から情報をいかに抽出するか?出てきた情報の中で意味のある部分はどこなのか?それらの生物学的意義は何なのか?これらの疑問に答えるためには、バイオインフォマティクスは不可欠です。 本セミナーでは、グライコミクス研究においてバイオインフォマティクスに今求められていることと今後の展望に関して、生命科学系の学部生を想定してお話ししたいと思います。

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