学部・生命情報学副専攻

お茶の水女子大学の学部における生命情報学教育は、平成21年度から「生命情報学副専攻」として本格的に開始しました。いままでにも、お茶大では生命情報学関連の授業を開講していましたが、バラバラだったためにその存在がよくわかりませんでした。そこで、それらの授業を副専攻としてひとつにまとめ、体系的に履修しやすいようにしました。お茶大の生命情報学関連の授業を集めて比較的コンパクトな科目群を設定し、各科目には必要履修科目を例示しています。それらの科目も履修しておくことで、生命情報学副専攻の効果的な履修ができると考えています。

お茶大に入学して生命情報学を勉強しよう生命情報学副専攻では、「生命情報学概論」(2単位:全学共通科目)が必修です。それに加えて、次の5科目(いずれも2単位)から4科目以上を選択することで、履修を完了できます;「計算生物学」(全学共通科目)、「進化遺伝学」(理学部生物学科専門科目)「バイオインフォマティクス」(理学部情報科学科専門科目)「計算化学」(理学部化学科専門科目)、「統計学」(コア科目)。これらの科目を見ても、生命情報学がいろいろな学科に分かれていることがわかります。別の見方をすると、どこからでも入ってくることができる分野であることがよくわかります。いずれの科目も学科の専門分野に属していますので、生命情報学を勉強したい学生は、各自の所属する学科の基礎科目はちゃんと勉強してください。「進化遺伝学」を履修するためには、分子遺伝学や細胞生物学の知識が必要です。「バイオインフォマティクス」を履修するには、データ構造やアルゴリズム、プログラミングへの理解は不可欠です。「計算化学」には物理化学が、「計算生物学」には、線形代数や微分積分の基礎は必要でしょう。履修科目が多岐に渡るために、大変に感じるかもしれませんが、1年生の時から専門科目と生命情報学副専攻科目とを少しずつ並行して勉強していけば、学部在籍中に履修することは決して難しくありません。

お茶の水女子大学では、過去においても学部4年生から各学科に点在する生命情報学関連の研究室に所属することで、生命情報学の教育を受け、研究を始めることができました。しかし、生命情報学がどのような分野なのかを、学部学生に学んでももらう機会はあまりありませんでした。平成20年度には学部学生への生命情報学の授業が始まりました。大学シラバスの全文検索において、「生命情報」「バイオインフォマティクス」それぞれの単語で授業を検索してみてください。想像よりも授業が少ないかもしれません。それは、生命情報学が従来の学問分類ではあらわしにくい学際領域で、いろいろな名称でよばれているからです。学際領域とは学問と学問の境界領域を意味します。「境界」というと物事のハシの様で妙な感じがします。しかし自然界の現象を、「これは物理現象」「それは化学現象」「これは数学」などと分類したのは人間の都合であり、自然がそのように分類されているわけではありません。物理、化学、数学、生物などの分類は比較的簡単にあつかえる現象を分類した結果にすぎません。そのため、複雑な生命現象のナゾを追いかけようとすると、旧来の学問体系からみると、学際領域に突入するのは当然のことです。生命情報学副専攻の科目が、多学科にまたがっているのはそのためです。