生命情報学を使いこなして
生命情報学分野における有能な人材に対する社会的要請は,産学官を通してきわめて高くなっています.そのなかでも,生命科学の専門知識をもって生命情報学を活用できることは,自立して新しい分野で活躍できる女性研究者への道を開くことにつながります.
日本では生命科学分野の大学院における女子学生の比率は,現在,約30%に達しています.しかし,大学院修了後に職を得て研究を継続している女性研究者の割合は その1/2程度で,そのなかでも自立した立場の研究者の割合はさらに少なく,先進7ヶ国の中でも際立って低いものです.これは,女性のライフサイクルにお いて,出産,子育ての時期に研究に専念する機会が失われることが一つの要因となっているためと考えられます.このような現状を少しずつでも変えていくため には,独創的な研究テーマを設定する能力を向上させることに加えて,不利な状況においても研究を継続できる研究方法を身に付けることが重要です.コン ピュータがあれば自宅においても研究活動を推進することのできる生命情報学は,この点においても大変に有利といえるでしょう.
また,ゲノム創薬やケミカルバイオロジーなどの分野でも,生命情報学は必要とされています.さらには,サイエンスライターのような仕事をしていくにも, 生命情報学の考え方は役に立つものとなるでしょう.生命情報学は,生命科学の研究に重要であるばかりではなく,生命現象を統合的な科学の目でとらえる分野です.理系だけでなく,多様な分野においてあなたの活躍の場を広げる手がかりを与えてくれるものとして,これから身近なものになっていくに違いありません.
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