キイロショウジョウバエの体色についての劣性の形質であるebonyの個体と、純系の野生型の個体とを交雑し(e/e × +/+)、そのF2において、メンデルの分離の法則を見てみよう。このF2では体色の真っ黒なebonyと、通常の色彩の野生型とは1:3に割合に出てくることが知られている。実際に実験室で測定してみたところ、体色が真っ黒な個体が42匹、野生型が157匹観測できた。測定値は完全に1:3ではない。完全に1:3ならば、真っ黒な個体が49.75匹(期待値)であり、残りが野生型のはずである。それでは、この測定結果から、ebonyはメンデルの分離の法則による分離比(1:3)を満足しているといえるか?
このような状況は、測定結果を評価するときによく遭遇し、χ2検定によって確かめる場合が多い。そこで、χ2検定を簡単に実行できるプログラムを作成しよう。複数個の測定値(2個とは限らない)を入力して、χ2の値を出力するプログラムがあれば、その値と自由度を持って数表を見ることで、モデルと適合しているか否かを検定することができる。プログラムでは以下の式を計算すればよい。
自転車事故に遭った793人のうち、147人は事故発生時に安全ヘルメットを着用し、他の646人は着用していなかった。ヘルメットを着用していた147人のうち、17人は医師の治療が必要な頭部の損傷を被り、残りの130人は怪我をしなかった。一方、ヘルメットを着用していなかった646人のうち、218人は重大な頭部損傷を被り、残りの428人は怪我をしなかった。ヘルメットの効果はあるといえるか?この問題では、ヘルメットは効果がないという帰無仮説を立て、この帰無仮説を破棄できるかどうかを検定する。
χ2適合性検定を実行するにあたり、以下の2点を忘れてはいけない。